平成27年度「歯と口の健康週間事業」報告

今年度も、山形市歯科医師会の依頼を受け、YDV劇団の幼稚園訪問歯科保健指導並びに障がい者福祉施設における無料歯科検診・歯科相談と同行訪問歯科保健指導を実施した。下記のとおり報告する。

1.訪問先
（1）幼稚園

（2）障がい者福祉施設

2.内容など
（1）幼稚園
今年度は、さくらんぼ幼稚園とひまわり幼稚園で訪問指導を行った。園の先生方のご協力のもと無事終了することができたことを報告する。
内容については、例年どおり全園児対象に人形劇を観てもらい、むし歯予防の「3つのお約束」をしてもらった。その後クラス毎に別れて、年長児クラスは歯垢染色を行い、年中・年少児クラス・2歳児クラスは歯垢染色をせずに歯磨き指導を行った。あわせてブクブクうがいを重点的に行った。両園とも保護者の参観があり、好機会と捉えホームケアについて等の指導を行った。

今年度のYDV人形劇は配役の変更に伴い批評しながら猛特訓を行い当日に臨んだ。人形劇には今流行りのキャラクターは登場せず、内容はシンプルである。しかしながら年齢差はあっても皆、集中して観賞し、むし歯予防の「3つのお約束」を覚えてくれた。

年長児では、6歳臼歯の萌出している児が多く、横からの突っ込み磨きの指導も行った。ブクブクうがいは上手にできたが、一部に長い時間できない児や、年中児では水を含むだけや水をたくさん含み、頬を活発に動かせない児が見受けられた。家でも、担任の先生にもうがいの指導をしてくださるようお願いをした。年少児では、歯磨きは上手にできるが、ブクブクができない児がいた。2歳児でも「ブクブク」と音が出るようにうがいの練習を頑張った。また、保護者と先生に向けて、フッ素の情報、咀嚼力のアップについて、食事時の姿勢、悪習慣（頬づえ等）、良く噛んで食べる等、咬合育成や口腔機能についての指導を行った。「初めて聞くことばかり」との感想があった。

（2）障がい者福祉施設
3か所の福祉施設のうち、「夢工房」は過去に4回訪問を実施している。35名の内、生活介護利用者が10名で、その担当職員は、仕上げ磨きについて熱心な上たいへん上手であった。「月のひかり」は昨年開所したばかりの事業所で、訪問実施後、担当者より、昼食後の歯磨きを今回を機に前向きに考えてみるとのお話があった。嚥下障害がある利用者が1名おられ、仕上げ磨きの際の注意点を指導した。詩の音読を行い、施設職員に対しては口腔機能についての説明を行った。「サポートスクエアぱおぱお」は、事前の打合せでは利用者のほとんどがうがいができない、指示が入らないとの事であったが、落ち着いて歯磨き指導を受け、半数の利用者がうがいをすることができた。

今年度、3施設56名の内、開口困難のため検診ができなかった利用者5名、CPIのみ測定不能は5名であった。以下に検診結果票よりおもな項目をまとめてみた。

口腔清掃の状況

治療の必要性

義歯の必要度については3名、義歯修理の必要度については0名（装着者1名）
その他　カリエスフリー9名

まとめ
生活介護の施設においては本人より施設職員への指導が有効であると思われる。指示行動のとれない利用者が多く、集団指導が困難であったり、意思疎通がすぐにとり難い状況であったりする。その様な中で、普段なかなか口を開けてくれない利用者が歯科検診では大きく開けることができたことや歯垢染色をしたいと意思表示をし、頑張って嫌なことに挑戦したという嬉しい場面もあった。一見きれいに磨けているようでも、口蓋面や臼歯部に磨き残しがあった。利用者の年齢が18歳から73歳となっており、口腔機能に関しての指導も必要と思われる。山形市歯科医師会の「口腔ケアを始めましょう」の冊子を施設に配り、健口体操を勧めた。

今年度も啓発活動に協力させていただきありがとうございました。ご協力頂いた皆様に感謝し、山形県歯科衛生士会では、会員の資質向上に努めて参りたいと思っております。今後ともご指導、ご鞭撻、何卒宜しくお願い申し上げます。

山形県歯科衛生士会　理事　柴橋八重子